「ブラックアウト香港」
作者:アレクサンダー・フィスター
メーカー:アークライト
プレイ人数:1~4人用
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:75~150分
毎週木曜日はキウイの日ー! ってなわけで、ご無沙汰しております、三家原です。
今回ご紹介するのは、アークライト様より発売中の「ブラックアウト香港」なのですー!!
とある秋の深夜、謎の大停電に見舞われた大都市香港。
夜が明けても復旧しない事で町中は大騒ぎ!
各プレイヤーはそれぞれの目標を達成しつつ、この未曾有の大停電に襲われた香港を普及すべくあちこちを駆け回っていくのですよ!
……と、ここまで書くとパンデミックみたいな全員で一つの目標に向かって協力していく協力ゲームかと思いきや、まさかの対戦ゲーム。
しかもプレイ時間が75~150分とかなりのヘビータイプ……果たして、その中身やいかに!?
■ゲーム準備
最初に、このゲームには5つ条件の異なるチャプターで構成されたキャンペーンモードと通常プレイの2種類があります。
1)ゲーム盤と各トークンの設置
テーブル中央に、今回の舞台となる香港が描かれたゲーム盤を設置しましょう。
マップ内に書かれている円形のマスを「地点マス」。
その他の四角やひし形とアルファベットの書かれたマスを「緊急対策本部マス」と呼びます。
またこの各マス同士を結ぶ点線によって囲まれた部分は、「区画」と呼ばれます。
「区画」は全部で16箇所。小さいのから大きいのまで多種多様なのですよ。
この「区画」の各箇所に、シャッフルした偵察トークンを3枚ずつ配置していきしょう。
裏にはいろいろなボーナスが……。
続いて「輸送トークン」「GPSトークン」「香港ドル」をゲーム盤横にまとめておき、プレイ中はこの場所を「銀行」と呼びます。
左が「GPSトークン」、右が「輸送トークン」なのですよ。
そして香港ドル
2)目的カードの準備
72枚ある目的カードを全てまとめてシャッフルした後、プレイ人数に応じた枚数だけ抜き出します。
抜き出したカードをひとまとめにし「予備の山」と呼んで、ゲーム終了時を満たすまで使用しないので、テーブルの脇に置いておきましょう。
勝利する為に重要な目標が書かれたカードなのですよ。
残ったカードは「カードの山」と呼ばれ、裏向きのままでゲーム盤の脇に配置します。
3)プレイヤーカラーの選択
各プレイヤーは、任意で自分の色を決めましょう。
プレイヤーカラーが決定したら、自分の色と同じ「勝利点マーカー」を、ゲーム盤に書かれている勝利点表の0と書かれたマスに配置します。
左上のところですねー。1周すると100点になります。
次に自分の色と同じキューブを全て手に取り、その中の1個を資源ロンデルと呼ばれる円の中央「バッテリーのマス」に配置します。
資源ロンデル。この間ご紹介したナビゲーターと同じシステムですね。
次からは各プレイヤーの準備となっていきます。
4)個人ボードの準備。
個人ボード1枚手に取り、自分の前に配置します。
これが個人ボードなのですよ。
続いて、自分の色の復旧区画コマを個人ボード上部のチェックマークの上に1個ずつ配置しましょう。
家の形をしているのが、「復旧区画コマ」なのですよ。
またこの時、初期では使用できない箇所もあるので、そういう場所は封鎖トークンで封鎖しておきましょう。
5)カードの配置
①ボランティアカード
8枚のボランティアカードから、2枚を取り、それらを個人ボードの目的マス2に配置します。
②緊急対策カード
4枚ある緊急対策カードの中から、ランダムに1枚とって、それを個人ボードの緊急対策マスに配置します。
③個人カード
4つの干支から1つを選び、12枚すべて受け取ります。
カードには大きく分けて「ボランティア」「専門家」「リーダー」の3種類があります。
資源確保をする「ボランティア」
それぞれ特殊な能力を発揮する「専門家」。
スタート時にはなぜか病院送りにされている「リーダー」
ただし、リーダーは個人ボードの右に配置し、この場所を「病院」と呼びます。
なぜか最初は病院送り状態のリーダー。
残ったカードの内、黄のボランティアを1枚抜き、個人ボードの左下のカード列に表向きに配置、その右隣に赤と青のボランティアを1枚ずつ重ねて配置します。
こうして残った7枚のカードが、ゲーム開始時の手札となるのですよ。
6)親と開始地点
親の決め方はランダムで行います。
親になったプレイヤーは。、資源ダイス3個を受け取ります。
最後に、親の右隣から反時計回りに、各プレイヤーは自分のキューブ1個を、ゲーム盤上のまだキューブの置かれていない「地点マス」に配置します。
これで、ゲームの準備は完了! いざ、闇に包まれた香港へ繰り出すのですよ!!
果たして、無事復旧出来るのか!?
■プレイ方法
さあ、いよいよ停電復旧に向けてゲームスタートなのですよ!
このゲームは、8つの「フェイズ」で構成された「ラウンド」を繰り返すことで進行していきます。
1.資源ダイスロールとカードの計画
2.ボランティアと専門家の配置
3.目的の達成
4.偵察
5.新たな目的の獲得
6.事後処理
7.区域の復旧
8.手札の補充とチェックアクションの実行
各フェイズは全プレイヤーの処理が済むことで終了し、次のフェイズへと移行していきます。
1.資源ダイスロールとカードの計画
親プレイヤーは、資源ダイスを3個を振り、このラウンドで獲得出来る資源「工具」「ガソリン」「水」「情報」「医療品」「食料」の中から3つを決定します。
毎ラウンド発生する資源が違う上、「食料」と「水」はラウンド終了時に精算されてしまうので、キープできないのですよ。
資源が決定したら、各プレイヤーは自分の手札を、個人ボードの下にあるカードの列に1枚まで裏向きに配置する事ができます。
2.ボランティアと専門家の配置
このフェイズでは、親から順番に手番を実行していきます。
プレイヤーは、カードの計画で配置したカードを任意の順で表向きにめくることによって、そのカードに明記されたアクションを実行していきます。
なので、先に「ボランティア」で資源を確保してから、その資源を使う「専門家」を使用するみたいな事も出来るのですよ。
また、毎ラウンド、発生する資源はランダムなので、どうしても欲しいのが手に張らないという場面もあります。
その際は、輸送トークンを使えば、1つ隣の資源を手に入れる事も可能なのです。
また、アクションの実行自体は任意ですので、表向きにしたけど実行しないというのもありだったり。
3.目的の達成
全プレイヤーの配備が完了したら、親から時計回りで、現時点で、個人ボード上に配置されている目標を達成していれば、資源や資金などの報酬や区域を復旧させる為のキューブを配置出来たりします。
目的達成にはいろいろな条件があるので、それに合わせてプレイしていくといいのですよ。
4.偵察
このフェイズでは、親プレイヤーから時計回りにゲームボード上に残っている偵察トークンを調べる事が出来ます。
ただし、この偵察範囲は、自分のキューブが配置されている地点マスに隣接していないと出来ません。
先に誰かが調べた場所は、偵察出来ないので、他のプレイヤーと密集していると不利になるかも……!
偵察タイルをめくったら、初球課題と上級課題の2種類があるので、自分がクリアできると思う方を選んで、自分の手札から「偵察アイコン」を持っているカードを1枚以上公開して、課題条件を満たせば成功となります。
「GPSトークン」は1個につき「偵察アイコン」3個扱いとなるので、手札で足りなくても上級をクリアできる可能性も!?
最初は病院送りにされているリーダーはた「偵察アイコン」が2個なので、地味に役立つのですよ。
ところが、こうして無事に偵察を成功しても、一つだけ落とし穴があります!
それは、手札から公開されたカードのうち、ランダムで一枚を病院に送りにしなければならないのですよ!
ま、まあ、偵察って危険ですもんね。病院送りになるのは仕方ない……?(汗)
こうして、全員が偵察と病院送りを完了させたら、このフェイズは終了となります。
ちなみに、この病院送りとなったカードは、初期手札にある「医者」の能力と「医療箱」を使用することで復帰させる事が出来るのです。
ゲーム中、地味にお世話になるのですよ。
5.新たな目的の獲得
各プレイヤーは、マーケットから新しいカードを獲得して、個人ボードに配置できるフェイズです。
親から時計回りに「パス」か「1枚購入」のいずれかを実行し、全員がパスするまで繰り返しましょう。
カードの単価は、購入したいカードが何段目にあるかで決定します。
また、一度パスをしたプレイヤーでも、一巡した際は改めて「パス」か「1枚購入」を選択できるので、その時購入したいのがなくても、新たにマーケットへ補充されたカードを購入するなんてことも可能なのですよ。
ちなみに購入したカードはすぐ手元に来ず、目的マスに配置されますので、どんなに頑張っても手に入るのは次のターンになります。
そして、一番注意しないといけないのは、目的マスがすべて埋まっている時は、新たなカードを購入することはできないのですよ!
欲しいカードはあれども、補充は出来ず……。
6.事後処理
このフェイズが始まるの以下の処理が行われます。
6-1)マーケットの右端のカードを破棄
親プレイヤーは、マーケットの格段にある右端のカードを1枚ずつ、計3枚を捨て札に移します。
段々入れ替わっていくマーケット。
この際、空になってしまった段が出来た場合、山札から補充していきますが、もしも山札が尽きてしまったら、ゲーム終了へと移行します。
6-2)資源の破棄
親プレイヤーから時計回りに、各プレイヤーは資源ロンデルの水と食料マスにある自分のキューブを回収します。
どんなに溜め込んでも、毎ラウンド消えていく~……そして、これが妖怪「1足りない」を呼び寄せるのですよ(汗)
この際、食料は1個につき2香港ドル、水は二択で1個なら1香港ドル。2個ならGPSトークン1時と交換となります。
回収というよりも、売却って感じですかね?
6-3)目的の破棄
各プレイヤーは、個人ボードにある目的マスのカードを1枚捨て札に移すことが出来ます。
7.区域の復旧
このフェイズでは、ゲームボード上の地域が復旧できたかどうかをチェックします。
その区画の周囲を覆うようにキューブが配置されていると、その区域は復旧した事になります。
徐々に電気が戻ってきたぞー!!
区域が復旧すると、そこに残されていた偵察タイルは全て取り除かれます。
次に復旧させたキューブの所有者は個人ボードから復旧区画コマを配置すると同時に、個人ボードに書かれたボーナスと、区画を覆うのに使用したキューブの数に応じた勝利点を獲得します。
なので、タイミングでどのボーナスを獲得するのかも勝利に繋がっていくのですよ。
また、他プレイヤーも、その区画を普及させる為キューブを配置していた場合、その数に応じた勝利点を獲得することができます。
今にも復旧しそうなところに、ちょこっとだけキューブを配置して勝利点を稼ぐのも、一つの手段?
8.手札の補充とチェックアクションの実行
各プレイヤーは、親から時計回りに手札が4枚以下なら、補充を行います。
どれだけ溜め込んでも、条件が合わないと補充できない……。
補充をする場合、個人ボードの一番下にあるカード列のうち、枚数がもっとも多い列のカードを手札として補充させます。
枚数の多い列からなので、補充前になったら、行動数は減ってしまうけど、そこに一気に配備するのも手かも?
この一気にだばーっと補充されるので、地味に欲しいカードがなかなか補充出来ないというのが最初はあるのですが、ある条件を満たせば6枚以下で補充出来るようになるので、カードの回転が速くなるのですよ。
ドバっと回収!
このフェイズ処理が終わると、次のラウンドへと移行し、親マーカーは左隣へと移行します。
以上がゲームの流れとなります……うん、長い!(まて)
とはいえ、こうして文章にすると長々とした感じになりますが、いざ実際にプレイしてみるとサクサクっと進むんだから不思議。
段々と電気が復旧していく香港。
……まあ、サクサク進むといっても、ゲームが進んであれこれ出来るようになればなるほど、長考という素敵な展開が待っているのですががががが。
■ゲーム終了と勝利条件
カードの山が枯渇したら、そのラウンドでゲーム終了となります。
最終ラウンドが終了すると同時に、勝利点計算がスタートとなります。
A)資源ロンデル上のすべてを資源を、1個につき1香港ドルで売却した後、各プレイヤーは5香港ドル毎に1ポイントと交換します。
種類に関係なく1ドル買取なので、終了が近くなったら高く売却できるならしておくのが吉ですね。
B)獲得した表向き偵察タイルの枚数を数え、勝利点計算表を参照に勝利点を獲得します。
C)対象となる手札とカード列にある各カードの勝利点を合計し、それを獲得します。
これらを合計し、最も得点の多いプレイヤーが、このゲームの勝者となります。
■総括
ってな訳で、今回ご紹介した「ブラックアウト香港」はいかがだったでしょうか?
ルール自体は比較的シンプルなので、最初の数ラウンドで大体流れは掴めて、その後は先の展開を考えてますます長考するというまさにヘビー・オブ・ヘビー仕様でしたねー。
プレイ時間150分に偽りなし!!
体を使うようなアクション要素はなく、頭でしっかりと戦略を練って進めていくというタイプのゲームなので、終わった後は「今日はしっかりボードゲームした~!」ってなったのですよ(笑)
なので、がっつりとゲームを遊びたい人にはちょうどいい一品なんじゃないかと思ったり。
またキャンペーンモードもあるので、一人でも遊べたり、複数でやる際も通常でやるのと少し違ったスパイスで遊べるので、慣れるとそっちで遊ぶといったこともできるのがいいですねー。
最近、大型ゲームでも一人プレイ可能っていう増えてきた気がしますねー。そういう流れなのかしら?
ってなわけで、今回ご紹介した「ブラックアウト香港」にご興味を持った方は、是非是非一度遊んでみてくださいませなのですー!
ライター紹介
三家原優人(みけはら ゆうと)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなく、映画会社にて長編映画の脚本や出演など多岐に渡って活動中。
趣味はガジェット集め。国内・国外問わずの気になるガジェットを集めては愛でる日々。
実は某公国の爵位を持っていたりする。
代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ。
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」。
長編ホラー映画「腐女子」。
その他多数。