ボードゲームレビュー第282回「オブスクリオ」

投稿者 : kiwistaff on

「オブスクリオ」
デザイナー:ラテリエール
メーカー:Libellud
日本販売:ホビージャパン
プレイ人数:2~8人
対象年齢:10才以上
プレイ時間:約45分



みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
担当47回目となる今回のレビュー作品は、こちら。


『オブスクリオ』。
邪悪な魔術師の呪いが掛かった図書館に潜入した、プレイヤーたち魔法使い一行。
無事にアーティファクトを入手して、これから脱出を試みる。
だが、図書館は迷宮へと姿を変えていた。
脱出の頼りとなるのは、手にした「魔法の書(グリモワール)」。
難解な絵としてページに表れる助言を読み解き、正しい扉を見つけ出すのだ。
しかし――君の勘は告げていた。
仲間たちの中に一人、魔術師に操られた「裏切者」がいることを……。
 
というのが、このゲームのおおよそのあらすじ。
なかなかおもしろそうな雰囲気に満ちていますよね。
それで実際どんなゲームなのかと言うと――
いわば、『ディクシット』と『人狼ゲーム』の合わせ技。
『ディクシット』は2008年に発売された普及の名作。ご存知の方も多いことでしょう。
ヒントから連想を膨らまして、答えとなる絵を当てる、というゲームです。
本作『オブスクリオ』はそこに、仲間に化けた敵を見つけ出すという『人狼ゲーム』要素を足した感じ。
……アナログゲームフリークには「なるほど!」ですよね?
では感触がわかったところで、プレイ準備に入っていきましょう。


【コンポーネント紹介&セットアップ】
まずはプレイヤーの役職を決めます。
今回は5人プレイで、以下の構成。
・魔法の書(1人):正解の絵と全員の役職を知るGM(ゲームマスター)的存在。ヒントを出す役。
・魔法使い(3人):「魔法の書」のヒントを頼りに、出題の答えを当てようとする正当なプレイヤー。
・裏切者(1人):正体を隠しつつ、「魔法使い」たちの答えが外れるよう暗躍するプレイヤー。
 
「魔法の書」役は話し合いなどによる任意で決定。
「魔法使い」と「裏切者」は、『人狼ゲーム』よろしくカードを引くことで決定します。
写真の〈忠誠カード〉を、上記のプレイ人数による役職構成の枚数で用意。
1枚ずつ引いて、紫色の紋様のカードを引いた人が「裏切者」です。
カードの内容は、当然誰にも知られてはいけません。「魔法の書」にも、です。
……ちなみにゲームは「魔法の書」&「魔法使い」陣営が勝つか、「裏切者」の1人勝ちか、という戦い。


次に、図書館内部の光景が描かれた〈ゲームボード〉を卓上に広げます。
ボード上(写真右手)にある「前進トラック」のスタート位置に〈前進マーカー〉をセット。
……1問正解するごとにこれを1マス進め、6問クリアすることで脱出成功となります。


「魔法の書」プレイヤーは、下記の物を持ちます。
・書台:写真のように、各ページに1枚ずつ、丸い〈幻影カード〉を入れて使います。
・胡蝶マーカー2個:写真左ページで、絵の一部を指している紡錘型のものです。
……「魔法の書」は、答えのヒントになるだろう部分を、このマーカーによって誇張して示すわけですね。


・カードホルダー:2つ折りのブックパネル。1~8の各欄に〈幻影カード〉を差し込んで使います。
・砂時計:「魔法使い」たちが相談する時間を限定するために用います。
 
これらを受け取ったら「魔法の書」は、全84枚の〈幻影カード〉をシャッフル。
裏向きで山札にして、そこから8枚をドロー。
他のプレイヤーに内容を見られないようにして、写真のように〈カードホルダー〉の各ポケットに挿入。
……どこにどれを入れるかはあまり関係ないので、自由に差し込みましょう。


「魔法の書」以外のプレイヤーは、各自〈キャラクターカード〉を1枚ずつ持ちます。
……どれを選んでもプレイに差はないので、イラストの好みで決めましょう。
カードに対応する〈キャラクターチップ〉はボード上、中央の広間に配置しておきます。


続いて、全ての〈罠トークン〉を、黒い〈袋〉に入れます。
……これは、プレイ中に罠が発生する際、ランダムに袋から引くことになるので、そのための準備。


ここで、プレイの難易度を決めます。
初級、通常、上級、の3択。初めてのプレイではもちろん初級を選びましょう。
決定したら、マニュアルを確認。
プレイ人数と難易度に対応した〈結束トークン〉の枚数が示されているので、その分のトークンを用意。
……今回は初級で5人なので、18個でした。
ボード上、端にあるエリアにこれを置くのですが、置き場が「通常」と「闇」の2つ存在します。
4~5人プレイなら、右手の「闇エリア」に5個、6~8人プレイなら7個〈結束トークン〉をセット。
残りの〈結束トークン〉は左手の「通常エリア」に置いておきます。
……今回のプレイでは、闇に5個、通常に13個、ですね。
なお、〈結束トークン〉はいわば、共有ライフ。
不正解になるごとに減っていき、全てがボード上から取り除かれるとゲームオーバーとなってしまいます。
……いや、「裏切者」にとっては、それこそが望む結末なんですけどね。


さて、これで準備は完了。
……いざ、脱出劇の幕開けです。


【ゲームの流れ】
――まず、重要な注意。
「魔法の書」プレイヤーは、他のプレイヤーといっさい会話してはいけません。
また、ジェスチャーなども禁止されています。……まあ、あくまで本なわけですからね。
意思疎通の手段は、前述の〈胡蝶マーカー〉で〈幻影カード〉の一部を示す、のみです。
 
さて、ここからが本題。
ゲームは、1ターン、5ステップ構成となっています。
具体的には以下の通り。
 
1:ターンの準備
2:謎の用意
3:裏切者カード
4:扉を選ぶ
5:ターンの終了
 
1つずつ順番に解説していきますね。
 
●1:ターンの準備
まず、正体を隠した「裏切者」を含む「魔法使い」たちは、指定数の〈罠トークン〉を袋から引きます。
最初のターンでは、1枚。
以降のターンでは、前のターンの相談時に費やした時間によって、引く罠の数が追加されます。
〈罠トークン〉は色により発動タイミングが分かれていて、茶色ならステップ2で発動。
紫色はステップ3で、緑色はステップ4で、効果を発揮します。
……具体的な罠の内容については、追い追いご紹介しますね。


●2:謎の用意
このステップは主に「魔法の書」プレイヤーの行動。
「魔法の書」は、まず山札から〈幻影カード〉を1枚引き、オモテ面の絵を確認します。
これが、このターンの正解となる絵。
……他のプレイヤーに内容が見えないよう、注意して確認しましょう。
それが済んだら、カードは伏せておきます。
一応、ステップ2の間中は、いつでも内容を再確認可能。
次に、「魔法の書」は山札から〈幻影カード〉を2枚引きます。
これをオモテ向きで〈書台〉の左右のページにセット。
さらに、この2枚の絵のどこかを指し示すように、2個の〈胡蝶マーカー〉を置きます。
これは「魔法使い」たちに正解の絵を当ててもらうため、ヒントを出す行動です。
このときはもちろん、正解の絵に繋がるようなポイントを指すことが肝要。
例えば、正解の絵に「川」が描かれているなら、〈書台〉の絵の中の「水」の部分を示す、とか。
……一応、正解と無関係なものを指すことはルールで禁止されています。
 
ちなみに、ヒントが〈胡蝶マーカー〉1個で充分な場合は無理に2個使わなくてもOK。
さらに、一方のページに2個配置しても、両ページに1個ずつでも大丈夫です。
また、絵の下に置く、というのも可能。
この場合は、その絵全体を指し示す、ということになります。
例えば、その絵の主題や、絵全体の色合いなどをヒントとして伝えたい場合に用います。
……一度配置したマーカーはもう動かせないので、よく考えて慎重に決めましょう。
 
〈胡蝶マーカー〉の配置が終わったら、〈書台〉を「魔法使い」たちに渡します。
正体を隠した「裏切者」を含む「魔法使い」たちは、絵とマーカーを見て、何を言わんとしているのか推理を始めましょう。
 
●3:裏切者カード
このステップは主に「裏切者」の行動。
まずは、「魔法の書」が全プレイヤーに目を閉じるよう口頭で指示を出します。
その後、「裏切者」だけ目を開けるように指示。
それを受けて「裏切者」のプレイヤーだけが、みんなにバレないようこっそりと目を開けます。
……この流れは、まさに『人狼ゲーム』ですね。
「魔法の書」はここで初めて、誰が「裏切者」になっていたか知ることになります。……アメイジング!
でも、声やリアクション、物音などで皆に正体がバレてしまわないよう、くれぐれも注意しましょう。


「魔法の書」はここで〈カードホルダー〉を開き、中のカードを「裏切者」に見せます。
「裏切者」はそれらの絵を確認して、1~8のうち、皆が正解だと勘違いしそうな絵を2枚選択。
……何番のカードなのかは、指を立てる本数などで密かに「魔法の書」に伝えましょう。
なお、選択決定は1枚ずつ行います。
「魔法の書」は、選択されたカードをすぐホルダーから出し、卓上に伏せて置きます。
ホルダーの空いたポケットには、すぐ山札からカードを1枚補充。
……ここでポケットに入れられたばかりのカードも、「裏切者」は2枚目として選択可能というわけです。
ちなみに、選ばない、という選択もアリです。
そうすると「魔法使い」たちに提示される誤った選択肢は、完全にランダム生成。
……でも、せっかく「裏切者」になったのだから、ここは選ばにゃ損ですよ(ニヤリ)
 
「裏切者」による選択アクションが完了したら、「魔法の書」はホルダーを閉じます。
ここで、「裏切者」も目を閉じます。
その後「魔法の書」の指示で、全プレイヤー目を開けます。
……『人狼ゲーム』で言うところの「朝になりました」。

●4:扉を選ぶ
このステップは主に「魔法使い」たちの行動。
……そのうちの一人は正体を隠した「裏切者」ですが。
「魔法の書」は、伏せておいた「裏切者」の選択カードと正解カードを手に取ります。
そこに山札からカードを引いて追加。合計6枚になるようにします。
……誤った選択肢が増える罠もあるので、その場合は合計7枚となります。
続いて、これを裏向きでシャッフル。
その後、ボードに描かれた#1~6の扉の横にオモテ向きで1枚ずつ並べていきます。
なお、1枚目を置いた時点で、砂時計をひっくり返してカウントスタート。
砂時計は〈カードホルダー〉の裏面にある〈タイムトラック〉の上に置きましょう。


さあ、「魔法使い」たちは急いで相談し、正解だと思う絵を決めなければいけません。
……このとき、正体を隠した「裏切者」は、それとなく誤答を促すような発言をするわけですね。
砂時計が尽きたら、ひっくり返して〈タイムトラック〉の1つ右のマスに砂時計を置きます。
シンキングタイムは続行。
ただし、決定が遅れれば遅れるほど、次のターンでの罠の数が増加。
……「+2」「+3」などと〈タイムトラック〉に描かれている通りです。 
「魔法使い」たちは各自、自分が正解だと思う絵を決めたら、その番号の扉の前に自分の〈チップ〉を移動。
みんな同じ扉でも、1人だけ違う扉でも、みんなバラバラでもOKです。
全員がいずれかの扉の前に着いたところで、シンキングタイムは終了となります。
なお、〈タイムトラック〉の最後のマスで砂時計が尽きてしまったときは、シンキングタイム強制終了。
「魔法の書」は、大きな声で「終了!」と告げます。
こうなったら、もう誰も〈チップ〉を動かすことはできません。
まだ扉の前に着いていなかったプレイヤーは、誤答した場合と同じようにペナルティを受けます。
……ボード上の〈結束トークン〉を1つ取り、自分の〈キャラカード〉の上に乗せる。


時間が尽きるか全員の選択が完了したら、いざ答え合わせ。
「魔法の書」は、正解の絵がどれだったのか、皆にを宣告しましょう。
1人でも正解していたら、ボード上の〈前進マーカー〉を次のマスに進めてください。
……一行はまず1度正しい扉を通過した。だが、まだあと5回、正しい扉を潜っていかなければならない。
誰も正解していなかった場合、〈前進マーカー〉は進められません。
依然として、あと6回、正解の扉を潜らなければならない状態、ということ。
……迷宮図書館の中で、絶賛迷子中。
 
誤答するか、時間内に扉に〈チップ〉を置けなかったプレイヤーは――
ボード上の「通常エリア」に置いてある〈結束トークン〉を1つ取り、自分の〈キャラカード〉に乗せます。
もし「通常エリア」にもう〈結束トークン〉がなければ、「闇エリア」から取って使います。
また、「通常エリア」の〈結束トークン〉が尽きたら、一旦ゲームの流れを中断。
【裏切者の告発】――というイベントが発生します。
……「貴様は信用ならん!」「いや、おまえが悪いんだろう!」なんてやりとりが始まる感じ。
ある意味ワクワクする展開ですね。
……これについては、のちほどしっかりお伝えするとして、今はゲームの流れの解説を続けます。
 
なお、ボード上の〈結束トークン〉が尽きてしまったら、その瞬間にゲームオーバー。
この場合は「裏切者」の1人勝ちです。
……魔法使いたちは決裂。図書館からは永久に脱出不可能となり、死ぬまで館内を彷徨い続けるのだった。
 
●5:ターンの終了
このステップは次のターンに向けた準備です。
使用した〈幻影カード〉を全てまとめて、オモテ向きで捨て札に。
〈罠トークン〉は全て袋に戻します。
「魔法使い」たちは、移動させていた〈チップ〉を元通り、ボードの中央へ。
そして、次のターンをまたステップ1から始めていきます。


【罠の種類】
一通りゲームの流れがわかったところで、罠の種類をご紹介しておきます。
 
《茶色…ステップ2で発動》
・夕闇の廊下:「魔法の書」は〈胡蝶マーカー〉を置く前に、書台ページに半透明の赤フィルターを乗せる。
……赤フィルターは、写真右の2枚。ヒントとなる絵の色が認識しづらくなるわけですね。
 
・魔法の霧:「魔法の書」は〈胡蝶マーカー〉を置く前に、書台ページに模様フィルターを乗せる。
……これも、ヒントがわかりずらくなる罠。写真左のフィルターで、絵のあちこちが見えなくなってしまいます。
 
・+2:即座にあと2個〈罠トークン〉を袋から引く。
……わかりやすく嫌な効果です。
 
・暗い夜:ステップ3開始時に、書台の〈幻影カード〉と〈胡蝶マーカー〉を取り除く。
……あとからヒントを確認することができなくなる罠です。
 
・二連の胡蝶:2個の〈胡蝶マーカー〉を置く際、一方のページに2個とも置かないといけない。
……2枚のうち1枚の〈幻影カード〉しか活用できず、出せるヒントが、より限られてしまいます。
 
・地を這う胡蝶:2個の〈胡蝶マーカー〉のうち1個はページの下に置かなければいけない。
……2個置く場合、必ず1つはページ全体を指すはめに。これは実質1個しか使えないも同じかも(汗)
 
《紫色…ステップ3で発動》
・闇の魔法:「裏切者」は〈カードホルダー〉から、2枚ではなく4枚を取る。
……「裏切者」の、正解に近い絵を選択肢に入れ混乱させる行為。迷いやすい絵が倍量にされてしまいます。
 
・諜報:「魔法の書」は、「裏切者」が間違わせるための絵を選ぶ前に、正解の絵そのものを見せる。
……本来は「裏切者」も正解の絵は知らない。でもこれで、より的確なフェイクを混ぜ込まれてしまいます。


《緑色…ステップ4で発動》
・隠し扉:#4の絵は公開されない。選ぶことは可能。
……正解を探す選択肢のうち1つが不明に。他に「ぽい絵」がないと中身もわからず#4を選ぶはめに。
 
・消えゆく部屋:〈消えゆく部屋タイル〉をタイムトラック上に置く。
……シンキングタイムが短くなり、時間に応じて次のターンにかせられる罠の量も増加傾向に。(写真上部)
 
・大広間:「魔法の書」は山札から〈幻影カード〉を加える際、1枚多く加える。
……通常6択の選択肢が、7択になってしまいます。結果的に正答確率が下がってしまうというわけ。
 
・鍵のかかった扉:選択肢の絵を1枚ずつ公開。公開時点で、それを選ぶかどうか決定させられる。
……この後もっと正解っぽい絵が出てくるかもしれない。でも出てこなかった場合でも戻って選択は不可。
 
・危険な部屋:誤答の数だけ〈結束トークン〉をゲームから取り除く。
……【裏切者の告発】が行われないうちにゲームオーバーになってしまう危険が……
 
以上が罠の種類です。1個だけならまだしも、複合的になってくるとキツイ内容です。
中には「効果なし」というのもあるので、なるべくそれを引けるようがんばってみましょう。


【裏切者の告発】
先程もチラッとお伝えしましたが、「通常エリア」の〈結束トークン〉が尽きたらこれを始めます。
なお、「魔法の書」はこのイベントには参加しません。
……「裏切者」の正体を知ってるわけですからね。
 
まず、砂時計をひっくり返します。
「魔法使い」たちは制限時間1分のうちに、誰が「裏切者」かを相談。
砂が尽きたら「1、2の、3!」で一斉に「キサマだ!」と思う相手を指差します。
各プレイヤーへの投票数を数え、最も多くの人から疑われたプレイヤーが告発されます。
……汝は人狼なりや!


告発されたプレイヤーは、自分の役職を示す〈忠誠カード〉をオープン。
もし「裏切者」でなかった場合は、「闇エリア」の〈結束トークン〉を2個ゲームから除外。
……もちろんここでもボード上の〈結束トークン〉が枯渇したら即時ゲームオーバーです。
〈結束トークン〉がまだ残っていれば、改めて砂時計をひっくり返すところから告発の手順を行っていきます。
……犯人を見つけるまで告発は続く。果たして裏切者の発見が先か、結束の崩壊が先か。
 
告発されたプレイヤーの〈忠誠カード〉が、見事「裏切者」だった場合。
「裏切者」は盤上から自分の〈チップ〉を取り除きます。
その後、通常のゲームの流れに戻って、ターンを続けていきましょう。
なお、以降「裏切者」は「魔法使い」たちの行動には参加せず、ステップ3の手順のみのゲーム参加。
……「バレちゃあしょうがねえ。だが、妨害は続けてやるぜ」ってな感じ。
ちなみに、誤って告発された「魔法使い」は、今後も通常通りのプレイ参加です。
……身の潔白は証明されたわけですからね。


【ゲームの終了】
終了パターンは、以下の2種類です。
〈前進マーカー〉がトラックの最後のマスから更に前進することになったとき。
つまり、6個目の正解を成し得たとき、ということですね。
これは、見事脱出成功。
「魔法使い」と「魔法の書」みんなの勝利となります。
ただ、これが結構難しいのは〈前進マーカー〉が最後のマスに来ると「見張り」という罠が自動発動する点。
相談が一切不可能になり、扉の選択も皆一斉に〈チップ〉を設置しないといけない、という事態です。
……人の動きを見て扉を決めることもできない、というわけ。最後の1問だけは、難易度急上昇なのです。
ただ、この難関を潜り抜けて勝利したときには、喜びもひとしお。
プレイヤーたちの結束も厚くなっていること請け合いでしょう!
 
さて、一方――
ゲーム中どこかの段階で、ボード上の〈結束トークン〉が尽きた場合。
「裏切者」1人の勝利。他のプレイヤーは全員敗北となります。
……仲良く勝利を分かち合えない……NOTポジピース。


【まとめ】
やることは単純で、わかりやすく楽しめます。
連想によるゲームは解釈の幅が広いため、プレイヤー個人のセンスがよく表れておもしろいです。
……「なるほど、この胡蝶マーカーはてっきり海だと思ってたけど、確かに波と言いたいのかも」
なんて、相談中に目から鱗なこともしばしばでした。
でもでも、そんな納得が、実は「裏切者」によるミスリードだったりするかもしれない。
というのも、またこのゲームの楽しみを一層豊かにしています。
名作『ディクシット』の仲良く純粋な絵当てゲームもおもしろかったですが――
この『オブスクリオ』では、正体隠匿要素が加わり、より緊張感あるプレイが楽しめます。


フレーバーのファンタジックな世界観も魅力的ですよね。
閉じ込められた魔法の迷宮図書館からの脱出。……聞いただけでワクワクします。
あと、罠の効果で絵に重ねる霧のフィルターとかもカッコイイ。すごく雰囲気出てます。
今回のプレイでは、「魔法使い」の私は残念ながら脱出失敗となってしまいましたが【裏切者の告発】には成功。
満場一致で吊り上げてやりました。
まあ、『人狼ゲーム』でも「人狼役」にはけっこうなスキルが求められますから。
この辺はちょっと難しいところではありますが、必ずしも「裏切者」の手腕が誤答を招く全てではありません。
偶然「ぽい絵」が紛れ込んだことで誤答してしまったり、「魔法の書」のヒントが的確さを欠いていたり。
役どころによってそれぞれのおもしろさがあるのも、このゲームの……いーいーとーこー!
繰り返しプレイしてみたいと思わせてくれます。
真価を発揮するのはやはり大人数でのプレイだと思いますが、少人数でも遊べるのもGOOD。
2、3人でのプレイに対応したルールもちゃんと用意されています。
 
ぜひ皆さんも『オブスクリオ』で、Let's 連想&脱出!
――といったところで、今回はここまで。
以上、「美術館で会った人だろ」新井淳平がお送りしました。ではではまた~。


【ライター紹介】
新井 淳平(あらい じゅんぺい)
「小説家」兼「マンガ原作者」兼「フリーライター」。
「めちゃコミック」にて原作マンガ連載中(「平井新」名義)。
某専門学校のノベルス文芸学科で授業も受け持つ。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。
【著作】
『冴えない私と彼女な彼氏』(電子コミック・原作担当)
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)