レビュー
ボードゲームレビュー第283回「ティーフェンタールの酒場」
「ティーフェンタールの酒場」作者:ヴォルフガング・ウォールシュメーカー:アークライトプレイ人数:2~4人用対象年齢:12歳以上プレイ時間:60分毎週木曜日はキウイの日ー!どもども、三家原です。いやー、やっと暖かくなってきましたねー。今回ご紹介するのはアークライト様より発売中の「ティーフェンタールの酒場」なのです!
ボードゲームレビュー第283回「ティーフェンタールの酒場」
「ティーフェンタールの酒場」作者:ヴォルフガング・ウォールシュメーカー:アークライトプレイ人数:2~4人用対象年齢:12歳以上プレイ時間:60分毎週木曜日はキウイの日ー!どもども、三家原です。いやー、やっと暖かくなってきましたねー。今回ご紹介するのはアークライト様より発売中の「ティーフェンタールの酒場」なのです!
ボードゲームレビュー第282回「オブスクリオ」
「オブスクリオ」デザイナー:ラテリエールメーカー:Libellud日本販売:ホビージャパンプレイ人数:2~8人対象年齢:10才以上プレイ時間:約45分 みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。作家でフリーライターの、新井淳平です。担当47回目となる今回のレビュー作品は、こちら。『オブスクリオ』。邪悪な魔術師の呪いが掛かった図書館に潜入した、プレイヤーたち魔法使い一行。無事にアーティファクトを入手して、これから脱出を試みる。だが、図書館は迷宮へと姿を変えていた。脱出の頼りとなるのは、手にした「魔法の書(グリモワール)」。難解な絵としてページに表れる助言を読み解き、正しい扉を見つけ出すのだ。
ボードゲームレビュー第282回「オブスクリオ」
「オブスクリオ」デザイナー:ラテリエールメーカー:Libellud日本販売:ホビージャパンプレイ人数:2~8人対象年齢:10才以上プレイ時間:約45分 みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。作家でフリーライターの、新井淳平です。担当47回目となる今回のレビュー作品は、こちら。『オブスクリオ』。邪悪な魔術師の呪いが掛かった図書館に潜入した、プレイヤーたち魔法使い一行。無事にアーティファクトを入手して、これから脱出を試みる。だが、図書館は迷宮へと姿を変えていた。脱出の頼りとなるのは、手にした「魔法の書(グリモワール)」。難解な絵としてページに表れる助言を読み解き、正しい扉を見つけ出すのだ。
ボードゲームレビュー第281回「ウイングスパン」
「ウイングスパン 」作者:エリザベス・ハーグレーブ 作メーカー:アークライトプレイ人数:1~5人対象年齢:10才以上プレイ時間:約40~70分 毎度みなさんこんにちは。あるいはこんばんは。最近は世間を騒がす新型コロナウィルスのおかげでなかなか外出しにくい状況が続いてますが、ずっと家にいるのも退屈ですよね。しかし、そんな時には気分を変えてボードゲームで大自然の中へお出かけしてみるのはいかがでしょうか? というわけで今回ご紹介するのはバードウォッチングがテーマのこのタイトル、『ウイングスパン』です!昨年のドイツ年間ゲーム大賞2019でエキスパート大賞を受賞、同じくドイツゲーム大賞2019でも大賞に輝いた本作。日本語版が発売されるや、あっという間に完売状態になってしまったりもしました。つまり面白さは折り紙付きってわけですよ! 「でもバードウォッチングなんてテーマで面白くなるの?」という疑問はごもっとも。しかしそこは『ワイナリーの四季』や『サイズ -大鎌戦役-』などのヒット作を手掛けてきたストーンメイヤーゲームズ。ヘビーながらコンパクトにまとめたゲームメカニクスで、遊びやすさとガッツリとしたプレイフィールを両立したルールデザインには定評があります。本作でもそのスタイルは遺憾なく発揮されています。 プレイヤーは愛鳥家のバードウォッチャーとなり、自分の土地に鳥たちを呼び込むのが目的です。たくさんの鳥を集めていくと土地はにぎやかになり、シナジーが生まれてさらに他の鳥を呼びやすくなっていきます。こうした良サイクルを作り上げて、豊かな環境を作り上げていきましょう。 【ゲーム内容】というわけで早速セッティングから見ていくことにします。まずは『鳥カード』を全てまとめてシャッフルし、山札を作ります。ここから3枚をオープンして、カード箱の蓋部分に並べましょう。この蓋部分、ちゃんとカードを並べられるトレイになっていて、収納とプレイ両方に使えるいいデザインだと思います。 それから『目的ボード』の各マスの上に『目的タイル』をランダムに1枚ずつ置きます。これが各ラウンド中に目指すべき目標、つまり得点源というわけです。『目的ボード』を見てもらえれば分かりますが、ラウンドを示すますが4ラウンド目までしかありません。つまりこのゲーム、どうあがいても4ラウンドで終了なのです。意外と短いと思うかもしれませんが、プレイしてみるとこれが絶妙な長さであると気付かされます。 その他、『餌箱』型のダイスタワーやトークン類を全員の手が届くところに置き、『ボーナスカード』の山札も作っておきます。 次に各プレイヤーに『個人ボード』と『アクションコマ』8個、『ボーナスカード』2枚、『鳥カード』5枚、『餌トークン』各1個が配られます。しかし、この全てが手に入るわけではありません。例えば、『鳥カード』1枚を手元に残すためには、任意の『餌トークン』1個を捨てなければなりません。鳥を自分のボード上に呼ぶにはコストとして『餌トークン』が必要になりますので、残したい『鳥カード』に使う種類の餌は確保しておくのが得策です。 また、得点源のひとつである『ボーナスカード』も2枚のうち、どちらか1枚しか選べません。これもカードの内容をよく見て、より達成しやすそうなカードに決めましょう。特定の条件の『鳥カード』を集める場合、該当するカードが山札に含まれている割合を書いてくれているのが親切ですね! これらの準備が終わったらスタートプレイヤーを決め、『親マーカー』を渡します。以上でセッティングは終了。つまづく要素はほとんどないくらい簡単ですね。 さて、ゲームに入る前に、ここでまず『鳥カード』の見方をご説明しましょう。 鳥を呼ぶ時には、まずカードの左上を見ます。◇型のアイコンで示されているのは『生息地』と呼ばれ、「この鳥がボード上のどのエリアに住めるのか」という条件です。例に上がっている「アオバネアメリカムシクイ」なら、森林と草原エリアに配置可能であり、逆に湿地エリアにはこの鳥は配置できません。その下に描かれているのが、呼ぶために必要な『餌トークン』の種類と数です。 また、カード左側中央あたりに描かれているアイコンは上から順に「勝利点」「作る巣の種類」「このカード上に置ける卵の数」を表しています。巣の種類は、『目的タイル』の条件の他、『ボーナスカード』の達成条件や『鳥カード』の能力で使用されます。ちなみに☆マークはどんな巣にでもカウントできるというオールマイティのシンボルです。 鳥の種類によっては特殊能力を持ったカードも存在します。基本的にはプレイヤーが選んだアクションに付随して、同列のエリアに置かれた『鳥カード』の能力が「右端に置かれたものから順に」起動されます。中には他のプレイヤーが行ったアクションに対応して起動するものがあったり、配置時のみ即座に効果を発揮する能力があったりします。こうした鳥の能力は強力なものが多いので、うまく活用していくのがゲームを有利にするコツです。 ではここからプレイに入っていきましょう。プレイヤーは手番が回ってきたら、以下の4つのアクションから一つ選び、『アクションコマ』1個をボード上に配置して実行します。 ・手札の『鳥カード』をプレイ・『餌トークン』の獲得と森林エリアの鳥能力の起動・産卵と草原エリアの鳥能力の起動・『鳥カード』の獲得と湿地エリアの鳥能力の起動 『個人ボード』にもアクションの内容は書かれているので分かりやすくなっていますが、もうちょっと細かく見ていきます。まずは何はともあれ鳥を呼ばないことには始まりません。というわけで初手はだいたい「『鳥カード』のプレイ」を選ぶことになるでしょう。手札にある『鳥カード』の中からプレイしたいカードを選び、必要なコストとして『餌トークン』と『卵トークン』を支払います。しかし、そのエリアに最初に配置する場合は、まだ『卵トークン』は必要ありません。必要な『卵』の数はボードの最上段に書かれています。 これを見て分かる通り、『鳥カード』は各エリアの左端から順に置いていくことになります。カード配置は左から、能力起動は右からと覚えておきましょう。鳥を配置してエリアを塞げば、勝利点になるだけでなく、エリアごとのアクションの効果もより強力なものにアップグレードされていきます。 カードのプレイ時、必要な種類の『餌』が足りない! といった場合、任意の『餌』2個を特定の『餌』1個として支払うこともできます。意外と見落としがちなルールですので、覚えておくといいでしょう。 そうは言っても『餌』の数自体が足りないよ~という場合、選ぶべきアクションは「『餌トークン』の獲得と森林エリアの鳥能力の起動」です。ここで使用するのが『餌箱』型のダイスタワーと5つの専用ダイスです!プレイヤーは自分の森林エリアを見て、一番左側に書かれている数のダイスを『餌箱』から取り出し、ダイスの出目に描かれた『餌』を獲得できます。『餌箱』から出されたダイスは、『餌箱』が空になるまでそのままです。なので、ほしい餌が『餌箱』にあるタイミングを見計らうことも重要になってくるわけです。 『餌箱』のトレイからダイスが全て取り除かれたら、次に『餌』の獲得アクションを選択したプレイヤーが全てのダイスをダイスタワーに投入します。それから森林エリアに配置してある『鳥カード』に書かれた『起動時アクション』を解決していきます。 鳥を配置していけば、前述した通りいずれはコストとして『卵』が必要になります。それを手に入れるのが「産卵と草原エリアの鳥能力の起動」アクションです。まだ空いている草原エリアで最も左端のエリアに描かれた数だけ『卵』を獲得できます。ここで得た『卵』は、自分の土地に来た鳥が産卵したものと見なしますので、必ず『鳥カード』の上にプールしていきます。当然、カードに描かれた配置上限を超えて『卵』を持つことはできませんので、早急にたくさん『卵』を持てる鳥を確保したいところです。その後、他のエリアと同様に鳥能力を起動していきます。ちなみに、ゲーム終了時にボード上に残った『卵』は1個で勝利点1点とカウントされますので、ひたすら『卵』を産み続けるのも戦術の一つになり得ます。 手札は使えば減っていくもの。というわけで、手元の『鳥カード』の数が心許ない、あるいはもっと戦術的においしいカードがトレイに並んでると思った時にはこれ。「『鳥カード』の獲得と湿地エリアの鳥能力の起動」を選びましょう。トレイの上から、あるいは山札からカードを得ることができます。ゲーム中、『鳥カード』を補充する手段はこれしかありません。特に、ゲーム開始前にカード枚数より『餌』を優先した人はすぐにお世話になるはずです。ここも、鳥を配置していけば一度にもらえるカード枚数が増えていきます。『ボーナスカード』の中には「手札の枚数が○枚以上あれば○点」みたいなカードもありますので、使うばかりでなく手札に溜め込むプレイもアリなのがこのゲームの深いところです。 『アクションコマ』を消費して1アクション行うたびに手番プレイヤーは移っていき、全員が手持ちの『アクションコマ』を使い切ったら1ラウンドが終了です。ラウンドが終われば、配置した『アクションコマ』は全て手元に帰ってきます。そして『目的ボード』を見て、タイルの条件をより満たしたプレイヤーから高い順位に『アクションコマ』1個を置いていきます。こうすることで、ゲーム終了時に誰が何点獲得していたかひと目でわかる様になっているわけです。それから『親マーカー』は時計回りに次のプレイヤーに渡され、トレイにある『鳥カード』は全て破棄されて新たなカードが並べ直されます。 そう、恐ろしいことに気が付きましたね?2ラウンド目以降は、ラウンドが進むごとに『アクションコマ』が1個ずつ少なくなっていくのです!最終ラウンドになると、使える『アクションコマ』は5個しかありません。これは否が応でも『鳥カード』の能力でシナジーを組んでいかないと、どんどん身動きが取れなくなっていくという秀逸なルールデザインなのですよ!これによってプレイが中だるみすることなく、常に『鳥カード』の選別、『生息地』の埋める順、『卵』の確保数などに目を配る「テンション」が維持されるのです。 【まとめ】ルールそのものは決して重い部類ではありませんが、多方面に目を配りながら考えることがいっぱいあるので、やはり4ラウンドくらいが集中力の保つ丁度いい長さと言えるでしょう。デッキ構築型ゲームなど、拡大再生産がお好きな方には文句なくオススメできます。 『目的タイル』や『ボーナスカード』も毎回組み合わせが変わるので、リプレイ性が高いのも魅力の一つです。特に『ボーナスカード』の内容はバラエティに富んでいますので、何度プレイしても新鮮な遊び方ができるのがいいですね。ゲーム大国ドイツで数々の大賞を獲得したのもうなずける面白さがありますので、ボードゲーム初心者の方にもぜひ遊んでもらいたい一品です。品薄だった市場在庫もぼちぼち解消されるみたいですよ! 各『鳥カード』には、その鳥のちょっとしたトリビアや生息地域、翼長なども書かれていますので、ちょっとした鳥類図鑑としても楽しめるようになっています。まだまだ拡張セットで鳥カードは増えていくようですので、遊びながら為になる教材としても利用できるかもしれませんね。といったところで、今回のゲームはいかがだったでしょうか?それではまた次の機会にお会いしましょう。 ライター紹介 松風志郎(まつかぜ しろう) ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。 ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。 アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。 世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。代表作 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ 大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ 大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」 その他多数。
ボードゲームレビュー第281回「ウイングスパン」
「ウイングスパン 」作者:エリザベス・ハーグレーブ 作メーカー:アークライトプレイ人数:1~5人対象年齢:10才以上プレイ時間:約40~70分 毎度みなさんこんにちは。あるいはこんばんは。最近は世間を騒がす新型コロナウィルスのおかげでなかなか外出しにくい状況が続いてますが、ずっと家にいるのも退屈ですよね。しかし、そんな時には気分を変えてボードゲームで大自然の中へお出かけしてみるのはいかがでしょうか? というわけで今回ご紹介するのはバードウォッチングがテーマのこのタイトル、『ウイングスパン』です!昨年のドイツ年間ゲーム大賞2019でエキスパート大賞を受賞、同じくドイツゲーム大賞2019でも大賞に輝いた本作。日本語版が発売されるや、あっという間に完売状態になってしまったりもしました。つまり面白さは折り紙付きってわけですよ! 「でもバードウォッチングなんてテーマで面白くなるの?」という疑問はごもっとも。しかしそこは『ワイナリーの四季』や『サイズ -大鎌戦役-』などのヒット作を手掛けてきたストーンメイヤーゲームズ。ヘビーながらコンパクトにまとめたゲームメカニクスで、遊びやすさとガッツリとしたプレイフィールを両立したルールデザインには定評があります。本作でもそのスタイルは遺憾なく発揮されています。 プレイヤーは愛鳥家のバードウォッチャーとなり、自分の土地に鳥たちを呼び込むのが目的です。たくさんの鳥を集めていくと土地はにぎやかになり、シナジーが生まれてさらに他の鳥を呼びやすくなっていきます。こうした良サイクルを作り上げて、豊かな環境を作り上げていきましょう。 【ゲーム内容】というわけで早速セッティングから見ていくことにします。まずは『鳥カード』を全てまとめてシャッフルし、山札を作ります。ここから3枚をオープンして、カード箱の蓋部分に並べましょう。この蓋部分、ちゃんとカードを並べられるトレイになっていて、収納とプレイ両方に使えるいいデザインだと思います。 それから『目的ボード』の各マスの上に『目的タイル』をランダムに1枚ずつ置きます。これが各ラウンド中に目指すべき目標、つまり得点源というわけです。『目的ボード』を見てもらえれば分かりますが、ラウンドを示すますが4ラウンド目までしかありません。つまりこのゲーム、どうあがいても4ラウンドで終了なのです。意外と短いと思うかもしれませんが、プレイしてみるとこれが絶妙な長さであると気付かされます。 その他、『餌箱』型のダイスタワーやトークン類を全員の手が届くところに置き、『ボーナスカード』の山札も作っておきます。 次に各プレイヤーに『個人ボード』と『アクションコマ』8個、『ボーナスカード』2枚、『鳥カード』5枚、『餌トークン』各1個が配られます。しかし、この全てが手に入るわけではありません。例えば、『鳥カード』1枚を手元に残すためには、任意の『餌トークン』1個を捨てなければなりません。鳥を自分のボード上に呼ぶにはコストとして『餌トークン』が必要になりますので、残したい『鳥カード』に使う種類の餌は確保しておくのが得策です。 また、得点源のひとつである『ボーナスカード』も2枚のうち、どちらか1枚しか選べません。これもカードの内容をよく見て、より達成しやすそうなカードに決めましょう。特定の条件の『鳥カード』を集める場合、該当するカードが山札に含まれている割合を書いてくれているのが親切ですね! これらの準備が終わったらスタートプレイヤーを決め、『親マーカー』を渡します。以上でセッティングは終了。つまづく要素はほとんどないくらい簡単ですね。 さて、ゲームに入る前に、ここでまず『鳥カード』の見方をご説明しましょう。 鳥を呼ぶ時には、まずカードの左上を見ます。◇型のアイコンで示されているのは『生息地』と呼ばれ、「この鳥がボード上のどのエリアに住めるのか」という条件です。例に上がっている「アオバネアメリカムシクイ」なら、森林と草原エリアに配置可能であり、逆に湿地エリアにはこの鳥は配置できません。その下に描かれているのが、呼ぶために必要な『餌トークン』の種類と数です。 また、カード左側中央あたりに描かれているアイコンは上から順に「勝利点」「作る巣の種類」「このカード上に置ける卵の数」を表しています。巣の種類は、『目的タイル』の条件の他、『ボーナスカード』の達成条件や『鳥カード』の能力で使用されます。ちなみに☆マークはどんな巣にでもカウントできるというオールマイティのシンボルです。 鳥の種類によっては特殊能力を持ったカードも存在します。基本的にはプレイヤーが選んだアクションに付随して、同列のエリアに置かれた『鳥カード』の能力が「右端に置かれたものから順に」起動されます。中には他のプレイヤーが行ったアクションに対応して起動するものがあったり、配置時のみ即座に効果を発揮する能力があったりします。こうした鳥の能力は強力なものが多いので、うまく活用していくのがゲームを有利にするコツです。 ではここからプレイに入っていきましょう。プレイヤーは手番が回ってきたら、以下の4つのアクションから一つ選び、『アクションコマ』1個をボード上に配置して実行します。 ・手札の『鳥カード』をプレイ・『餌トークン』の獲得と森林エリアの鳥能力の起動・産卵と草原エリアの鳥能力の起動・『鳥カード』の獲得と湿地エリアの鳥能力の起動 『個人ボード』にもアクションの内容は書かれているので分かりやすくなっていますが、もうちょっと細かく見ていきます。まずは何はともあれ鳥を呼ばないことには始まりません。というわけで初手はだいたい「『鳥カード』のプレイ」を選ぶことになるでしょう。手札にある『鳥カード』の中からプレイしたいカードを選び、必要なコストとして『餌トークン』と『卵トークン』を支払います。しかし、そのエリアに最初に配置する場合は、まだ『卵トークン』は必要ありません。必要な『卵』の数はボードの最上段に書かれています。 これを見て分かる通り、『鳥カード』は各エリアの左端から順に置いていくことになります。カード配置は左から、能力起動は右からと覚えておきましょう。鳥を配置してエリアを塞げば、勝利点になるだけでなく、エリアごとのアクションの効果もより強力なものにアップグレードされていきます。 カードのプレイ時、必要な種類の『餌』が足りない! といった場合、任意の『餌』2個を特定の『餌』1個として支払うこともできます。意外と見落としがちなルールですので、覚えておくといいでしょう。 そうは言っても『餌』の数自体が足りないよ~という場合、選ぶべきアクションは「『餌トークン』の獲得と森林エリアの鳥能力の起動」です。ここで使用するのが『餌箱』型のダイスタワーと5つの専用ダイスです!プレイヤーは自分の森林エリアを見て、一番左側に書かれている数のダイスを『餌箱』から取り出し、ダイスの出目に描かれた『餌』を獲得できます。『餌箱』から出されたダイスは、『餌箱』が空になるまでそのままです。なので、ほしい餌が『餌箱』にあるタイミングを見計らうことも重要になってくるわけです。 『餌箱』のトレイからダイスが全て取り除かれたら、次に『餌』の獲得アクションを選択したプレイヤーが全てのダイスをダイスタワーに投入します。それから森林エリアに配置してある『鳥カード』に書かれた『起動時アクション』を解決していきます。 鳥を配置していけば、前述した通りいずれはコストとして『卵』が必要になります。それを手に入れるのが「産卵と草原エリアの鳥能力の起動」アクションです。まだ空いている草原エリアで最も左端のエリアに描かれた数だけ『卵』を獲得できます。ここで得た『卵』は、自分の土地に来た鳥が産卵したものと見なしますので、必ず『鳥カード』の上にプールしていきます。当然、カードに描かれた配置上限を超えて『卵』を持つことはできませんので、早急にたくさん『卵』を持てる鳥を確保したいところです。その後、他のエリアと同様に鳥能力を起動していきます。ちなみに、ゲーム終了時にボード上に残った『卵』は1個で勝利点1点とカウントされますので、ひたすら『卵』を産み続けるのも戦術の一つになり得ます。 手札は使えば減っていくもの。というわけで、手元の『鳥カード』の数が心許ない、あるいはもっと戦術的においしいカードがトレイに並んでると思った時にはこれ。「『鳥カード』の獲得と湿地エリアの鳥能力の起動」を選びましょう。トレイの上から、あるいは山札からカードを得ることができます。ゲーム中、『鳥カード』を補充する手段はこれしかありません。特に、ゲーム開始前にカード枚数より『餌』を優先した人はすぐにお世話になるはずです。ここも、鳥を配置していけば一度にもらえるカード枚数が増えていきます。『ボーナスカード』の中には「手札の枚数が○枚以上あれば○点」みたいなカードもありますので、使うばかりでなく手札に溜め込むプレイもアリなのがこのゲームの深いところです。 『アクションコマ』を消費して1アクション行うたびに手番プレイヤーは移っていき、全員が手持ちの『アクションコマ』を使い切ったら1ラウンドが終了です。ラウンドが終われば、配置した『アクションコマ』は全て手元に帰ってきます。そして『目的ボード』を見て、タイルの条件をより満たしたプレイヤーから高い順位に『アクションコマ』1個を置いていきます。こうすることで、ゲーム終了時に誰が何点獲得していたかひと目でわかる様になっているわけです。それから『親マーカー』は時計回りに次のプレイヤーに渡され、トレイにある『鳥カード』は全て破棄されて新たなカードが並べ直されます。 そう、恐ろしいことに気が付きましたね?2ラウンド目以降は、ラウンドが進むごとに『アクションコマ』が1個ずつ少なくなっていくのです!最終ラウンドになると、使える『アクションコマ』は5個しかありません。これは否が応でも『鳥カード』の能力でシナジーを組んでいかないと、どんどん身動きが取れなくなっていくという秀逸なルールデザインなのですよ!これによってプレイが中だるみすることなく、常に『鳥カード』の選別、『生息地』の埋める順、『卵』の確保数などに目を配る「テンション」が維持されるのです。 【まとめ】ルールそのものは決して重い部類ではありませんが、多方面に目を配りながら考えることがいっぱいあるので、やはり4ラウンドくらいが集中力の保つ丁度いい長さと言えるでしょう。デッキ構築型ゲームなど、拡大再生産がお好きな方には文句なくオススメできます。 『目的タイル』や『ボーナスカード』も毎回組み合わせが変わるので、リプレイ性が高いのも魅力の一つです。特に『ボーナスカード』の内容はバラエティに富んでいますので、何度プレイしても新鮮な遊び方ができるのがいいですね。ゲーム大国ドイツで数々の大賞を獲得したのもうなずける面白さがありますので、ボードゲーム初心者の方にもぜひ遊んでもらいたい一品です。品薄だった市場在庫もぼちぼち解消されるみたいですよ! 各『鳥カード』には、その鳥のちょっとしたトリビアや生息地域、翼長なども書かれていますので、ちょっとした鳥類図鑑としても楽しめるようになっています。まだまだ拡張セットで鳥カードは増えていくようですので、遊びながら為になる教材としても利用できるかもしれませんね。といったところで、今回のゲームはいかがだったでしょうか?それではまた次の機会にお会いしましょう。 ライター紹介 松風志郎(まつかぜ しろう) ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。 ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。 アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。 世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。代表作 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ 大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ 大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」 その他多数。
ボードゲームレビュー第280回「宝島」
「宝島 完全日本語版」作者:マルク・パキンメーカー:アークライトプレイ人数:2~5人用対象年齢:10歳以上プレイ時間:45分 毎週木曜日はキウイの日ー!今回ご紹介するのはアークライト様から発売中の「宝島 完全日本語版」なのですー!!
ボードゲームレビュー第280回「宝島」
「宝島 完全日本語版」作者:マルク・パキンメーカー:アークライトプレイ人数:2~5人用対象年齢:10歳以上プレイ時間:45分 毎週木曜日はキウイの日ー!今回ご紹介するのはアークライト様から発売中の「宝島 完全日本語版」なのですー!!
ボードゲームレビュー第279回「ボルカルス」
「ボルカルス」 作者:上杉真人メーカー:アークライトプレイ人数:4人対象年齢:10才以上プレイ時間:約60~80分 毎度どうもこんにちは。お久しぶりのライター松風です。唐突ですが、皆さん怪獣はお好きですか?地中から、海底から、宇宙から、はたまた異次元からやってきて災害をもたらす怪獣は、その圧倒的な力強さが魅力ですよね。そんな怪獣が、もし自分の町にやってきたら……なんて想像を男の子なら(もしかしたら女の子でも)したことはあるはず! というわけで、今回ご紹介するのは怪獣対人間をシミュレートできる『ボルカルス』!クラウドファンディングのサイトやゲームマーケットなどで気になってた方も多いんじゃないでしょうか。
ボードゲームレビュー第279回「ボルカルス」
「ボルカルス」 作者:上杉真人メーカー:アークライトプレイ人数:4人対象年齢:10才以上プレイ時間:約60~80分 毎度どうもこんにちは。お久しぶりのライター松風です。唐突ですが、皆さん怪獣はお好きですか?地中から、海底から、宇宙から、はたまた異次元からやってきて災害をもたらす怪獣は、その圧倒的な力強さが魅力ですよね。そんな怪獣が、もし自分の町にやってきたら……なんて想像を男の子なら(もしかしたら女の子でも)したことはあるはず! というわけで、今回ご紹介するのは怪獣対人間をシミュレートできる『ボルカルス』!クラウドファンディングのサイトやゲームマーケットなどで気になってた方も多いんじゃないでしょうか。
ボードゲームレビュー第278回「アンクォール」
「アンクォール」作者:フランク・クリスティン / グレゴワール・ラージ / セバスティン・ポーコンメーカー:ホビージャパンプレイ人数:2~4人用対象年齢:10歳以上プレイ時間:約30分 みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。作家でフリーライターの、新井淳平です。担当46回目となる今回のレビュー作品は、こちら。『アンクォール』。古代エジプトの市場を題材としたゲームです。リソース管理やタイル配置、セットコレクションといった要素を持つ小品――ルールもわかりやすく、サクッと遊びやすい内容となっています。 プレイヤーはまず、魚や炭などの資源や、特殊効果のある〈アンクトークン〉をGETしていきます。手持ち資源が潤ったら、市場に並んだ任意のタイルを購入。自分の場に並べていきます。基本的に、同じ色か同じ動物を2枚以上繋げて並べることが、点数GETの方法。また、同様に5枚以上隣接させることで3勝利点となる〈ボーナストークン〉が得られます。ゲームは、誰かが13枚目のタイルを設置すると終了に向かいます。手番数が同じになるようにプレイして、得点計算。最多得点獲得者が、優勝となります。【コンポーネント紹介&セットアップ】まずは卓上に〈価格ボード〉をセットします。次に15枚の〈価格マーカー〉をシャッフルし、ボードの穴にランダムに嵌め込みます。マーカーには5色あり、魚や織物など5種類の資源がそれぞれに描かれています。手番では、このマーカー分の資源を支払うことで該当マスの〈タイル〉を購入ができる、ということ。……遊ぶたびに価格表が変化するわけですね。55枚ある〈タイル〉はシャッフルして、ボード脇に2つの山にして設置。どちらか一方の山の上から6枚をオープンして、ボードの下に並べます。ピラミッド型の〈ボーナストークン〉はまとめてストックに。6色のトークン類もそれぞれ、プレイ人数に応じた使用枚数をまとめてストックにしておきます。今回は4人で遊んだので、1種につき6枚ずつ、でした。――これでセットアップは完了。実に簡潔ですね。ジャンケン等でスタートプレイヤーを決めたら、さっそくゲームスタートです。【ゲームの流れ】プレイヤーが手番に行える基本アクションは2種類。「A:トークンを入手する」と「B:タイルを購入する」です。手番になったら、どちらか一方を選んで実行しましょう。 ●A:トークンを入手するストックのトークンから3つを入手します。同じ種類でも構いませんが、制約が2つ。ターン終了時に6枚以上の〈資源トークン〉を持っている場合、5枚になるよう任意の物を捨てるはめになります。同様に、〈アンクトークン〉は3枚以上だと2枚に調整することになります。……〈アンク〉の使用法と効果については、のちほどご説明しますね。●B:タイルを購入する手持ちの〈資源トークン〉を支払って、場に並んでいる〈タイル〉の中から欲しい〈タイル〉を購入します。〈タイル〉に対応するマスに嵌まっている〈マーカー〉の内容が、支払う価格。……写真の一番右のマスなら「緑黒白が1枚ずつ」計3枚ですね。 買った〈タイル〉は、すぐに自分の場に設置することになります。すでに設置済みの〈タイル〉がある場合は、必ずどれかと隣接するように置かないといけません。……隣接扱いになるのは縦横方向のみ。斜めはダメです。 ここで大事なのは、〈ボーナストークン〉を得られる形を目指して設置していくこと。・同色5枚以上が隣接・同動物5枚以上が隣接つまりこの2種類です。並びが達成されたら、即座にストックから〈ボーナストークン〉を受け取りましょう。ちなみに、5枚から先は何枚繋げてももうボーナスは入りません。……ボーナスで大量得点を狙うなら、6枚以上にならず5枚セットを複数作るのが大切です。 また、特別なケースとして2段目に設置することができる場合があります。条件は次の通り。・4枚の〈タイル〉が正方形に並んでいること・4枚のうち最低1枚が、これから上に設置する〈タイル〉と同色であることこの2つの条件を満たすとき、4枚の交差地点――2段目に〈タイル〉を置くことができます。2段目の〈タイル〉は下の4つの〈タイル〉と隣接している扱いになるので、得点にも繋がります。なお、こうして2段目に設置するときには、〈タイル〉入手時に支払う〈資源トークン〉が1枚緩和されます。価格が「緑黒白1枚ずつ」なら、どれか1枚は払わなくていい。計2枚で買えるということ。……これはお得ですね。なるべく2段目に設置できるようにするのも、勝利への近道と言えそう。 ――さて。手番が進んでいくと、必然的に場の〈タイル〉が少なくなってきますね。選択肢が少ないと、欲しい〈タイル〉がない、という事態も発生します。そんなとき、いよいよ出番となるのが〈アンクトークン〉です。これを基本アクションの前か後に1枚支払うごとに、以下の追加アクション「a」か「b」1つを実行できます。ただし、基本アクションで入手したばかりの〈アンク〉を即使う、ということはできないので注意。 a)タイルの更新2人プレイの場合、まず場に並べられた〈タイル〉のうち一番左の1枚を強制的に取り除きます。3~4人の場合は、この行程は無視しましょう。次に、場の残りの〈タイル〉を左寄りに詰めます。……価格が変わるわけですね。続いて、2つあるタイル山のうちどちらか1つを選択。その上から、場に空いているマスへ左から順に〈タイル〉を補充します。もし選択した山が尽きたときは、残りの山から補充を続けましょう。……欲しい〈タイル〉が場にないときは、こうして〈アンク〉を使って〈タイル〉を更新するわけですね。b)自分のタイル1枚を移動すでに自分の場に設置した〈タイル〉を、設置し直すことができます。あとからプレイプランを変更したいときや、失敗したな、というときにやり直しがきくのは便利。ただし、段数を跨いで移動はできません。1段目の〈タイル〉は1段目、2段目の〈タイル〉は2段目と、同じ段内でのみ移動可能です。また、移動によってボーナス対象だった形が崩れてしまった場合――入手済みの〈ボーナストークン〉を返却することになってしまうので、くれぐれも注意しましょう。 ゲームを通じてやっていくことは、以上です。・資源を得る・タイルを買って置く・タイル更新・タイル移動つまりはこの4アクションのみ。やることが明快でプレイしやすい内容ですね。――あとは〈タイル〉の種類についてもご紹介しておきましょう。【タイルの種類】まず、色は「赤・青・緑・白・黒」の5色が存在します。どの色を主に集めていくかは、他のプレイヤーの動向を見て決めましょう。……かちあうと場のタイルの取り合いになるので、おいしくありません。 絵柄の種類としては、まず動物。写真のように「ジャッカル」「ファルコン」「スカラベ」の3種類が存在します。これも、他のプレイヤーとの兼ね合いでどれを集めるか決めるのがいいかもしれません。続いての種類は写真の3つ。左から順にご紹介します。 ・得点タイルこのタイルはゲーム終了時、単純に「1枚2勝利点」として換算されます。色との兼ね合いもありますが、場に現れたら率先してGETするのがいいでしょう。 ・倉庫タイルGETして自分の場に設置すると同時に、〈タイル〉と同色の〈資源トークン〉1個をこの〈タイル〉の上に乗せます。これは、所有資源として支払いに使えますが、手持ち上限にカウントされません。つまり、手持ちの資源がすでに5枚で制限いっぱい――これが6枚目でも、手番終了時に破棄しなくてOK。……これは〈タイル〉の購入が捗ること請け合いですね。また、乗せた資源の使用後は、同色タイルを個人的にストックしておく倉庫として使えます。これを活用することで、常時6個以上の資源を所有しておけるようになるわけですね。……直接得点には結びつきませんが、侮りがたい効果ですよ。 ・書記官タイルこの〈タイル〉を購入した場合、設置後、即座にもう1手番実行することができます。追加の手番は通常同様、「資源トークンGET」にしても「タイル購入」にしてもOK。……行動数が増えるのはどのゲームでも最高に魅力的な効果ですよね。……アメイジング!最後の1種は、砂漠タイル。これといった効果はないですし、動物ボーナスも狙えないため、いわば損な1枚です。なるべくなら、これ以外の種類の〈タイル〉を入手していくのがいいでしょう。ただ、色ボーナスを狙うための1枚としては機能するので、あながち損なだけとも限りません。【ゲームの終了】プレイヤーの誰かが自分の場に13枚目のタイルを配置すると、ゲームは終了に向かいます。全てのプレイヤーが同じ手番数になるようラウンドを実行して、いざ得点計算。換算手順と得点になるものは、以下の通りです。 ・「得点タイル」の点・ボーナストークンの点・同種の「動物タイル」が2枚以上隣接しているグループ。構成しているタイル1枚につき1点。・同色のタイルが2枚以上隣接しているグループ。構成しているタイル1枚につき1点。・自分が所有しているトークンの残り。種類に関係なく3枚ごとに1点。 これらの合計値が最も高かったプレイヤーが優勝です。……汝こそ、名声高きエジプトの大商人だ!もし同点なら、自分の場のタイル枚数が少ないほうの勝ち。それも同じなら、所持している残り資源の少ないほうが勝ちです。それさえも同数だった場合は、仲良く勝利を分かち合いましょう。……ポジピース☆【まとめ】作者が、2人用ゲームの傑作『ジャイプル』のスタッフだけあって、安定のプレイ感。名作『宝石の煌めき』に似たシステムは、やることもわかりやすくプレイ時間もお手頃です。基本的には黙々と自分の場を作っていくタイプのゲームなので、ケンカの心配もなし。一応、お邪魔要素としては、相手が欲しそうな場の〈タイル〉を先に買っちゃう、という手もありますが。……あとは、2人プレイなら場の左端の〈タイル〉を流しちゃうこともできるしね。 駆け引きの肝は、〈アンク〉によって〈タイル〉を補充するタイミング。場の〈タイル〉が自動的に補充されない、というのが何よりこのゲームのミソでしょう。補充タイミング一つで、おいしい1枚を相手に取られてしまったり、損な1枚を取るはめになってしまったり。いざというときのために〈アンク〉は最低1枚は常備しておきたいところです。……とか言いつつ、私はほぼ〈アンク〉なしで、向こう見ずなプレイをしていたわけですが(汗)勝つために重要なのは、1枚の〈タイル〉で2役をこなすこと。例えば、写真中央1段目の「青ジャッカル」と「青ファルコン」のような形です。この2枚は「青ボーナス」にもなり、それぞれ「同動物ボーナス」にもなっている。ボーナス点だけで、もう9点です。置ける〈タイル〉の枚数は最大でも13枚と限られているので、一石二鳥が大事ですよ。 ぜひ皆さんも『アンクォール』で、飽きない商いを!――といったところで、今回はここまで。以上、どんぶり勘定な新井淳平がお送りしました。ではではまた~。【ライター紹介】新井 淳平(あらい じゅんぺい)「小説家」兼「フリーライター」。某専門学校のノベルス文芸学科で授業も受け持つ。ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。ダイス運は、最悪だけどドラマティック。【著書】『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)
ボードゲームレビュー第278回「アンクォール」
「アンクォール」作者:フランク・クリスティン / グレゴワール・ラージ / セバスティン・ポーコンメーカー:ホビージャパンプレイ人数:2~4人用対象年齢:10歳以上プレイ時間:約30分 みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。作家でフリーライターの、新井淳平です。担当46回目となる今回のレビュー作品は、こちら。『アンクォール』。古代エジプトの市場を題材としたゲームです。リソース管理やタイル配置、セットコレクションといった要素を持つ小品――ルールもわかりやすく、サクッと遊びやすい内容となっています。 プレイヤーはまず、魚や炭などの資源や、特殊効果のある〈アンクトークン〉をGETしていきます。手持ち資源が潤ったら、市場に並んだ任意のタイルを購入。自分の場に並べていきます。基本的に、同じ色か同じ動物を2枚以上繋げて並べることが、点数GETの方法。また、同様に5枚以上隣接させることで3勝利点となる〈ボーナストークン〉が得られます。ゲームは、誰かが13枚目のタイルを設置すると終了に向かいます。手番数が同じになるようにプレイして、得点計算。最多得点獲得者が、優勝となります。【コンポーネント紹介&セットアップ】まずは卓上に〈価格ボード〉をセットします。次に15枚の〈価格マーカー〉をシャッフルし、ボードの穴にランダムに嵌め込みます。マーカーには5色あり、魚や織物など5種類の資源がそれぞれに描かれています。手番では、このマーカー分の資源を支払うことで該当マスの〈タイル〉を購入ができる、ということ。……遊ぶたびに価格表が変化するわけですね。55枚ある〈タイル〉はシャッフルして、ボード脇に2つの山にして設置。どちらか一方の山の上から6枚をオープンして、ボードの下に並べます。ピラミッド型の〈ボーナストークン〉はまとめてストックに。6色のトークン類もそれぞれ、プレイ人数に応じた使用枚数をまとめてストックにしておきます。今回は4人で遊んだので、1種につき6枚ずつ、でした。――これでセットアップは完了。実に簡潔ですね。ジャンケン等でスタートプレイヤーを決めたら、さっそくゲームスタートです。【ゲームの流れ】プレイヤーが手番に行える基本アクションは2種類。「A:トークンを入手する」と「B:タイルを購入する」です。手番になったら、どちらか一方を選んで実行しましょう。 ●A:トークンを入手するストックのトークンから3つを入手します。同じ種類でも構いませんが、制約が2つ。ターン終了時に6枚以上の〈資源トークン〉を持っている場合、5枚になるよう任意の物を捨てるはめになります。同様に、〈アンクトークン〉は3枚以上だと2枚に調整することになります。……〈アンク〉の使用法と効果については、のちほどご説明しますね。●B:タイルを購入する手持ちの〈資源トークン〉を支払って、場に並んでいる〈タイル〉の中から欲しい〈タイル〉を購入します。〈タイル〉に対応するマスに嵌まっている〈マーカー〉の内容が、支払う価格。……写真の一番右のマスなら「緑黒白が1枚ずつ」計3枚ですね。 買った〈タイル〉は、すぐに自分の場に設置することになります。すでに設置済みの〈タイル〉がある場合は、必ずどれかと隣接するように置かないといけません。……隣接扱いになるのは縦横方向のみ。斜めはダメです。 ここで大事なのは、〈ボーナストークン〉を得られる形を目指して設置していくこと。・同色5枚以上が隣接・同動物5枚以上が隣接つまりこの2種類です。並びが達成されたら、即座にストックから〈ボーナストークン〉を受け取りましょう。ちなみに、5枚から先は何枚繋げてももうボーナスは入りません。……ボーナスで大量得点を狙うなら、6枚以上にならず5枚セットを複数作るのが大切です。 また、特別なケースとして2段目に設置することができる場合があります。条件は次の通り。・4枚の〈タイル〉が正方形に並んでいること・4枚のうち最低1枚が、これから上に設置する〈タイル〉と同色であることこの2つの条件を満たすとき、4枚の交差地点――2段目に〈タイル〉を置くことができます。2段目の〈タイル〉は下の4つの〈タイル〉と隣接している扱いになるので、得点にも繋がります。なお、こうして2段目に設置するときには、〈タイル〉入手時に支払う〈資源トークン〉が1枚緩和されます。価格が「緑黒白1枚ずつ」なら、どれか1枚は払わなくていい。計2枚で買えるということ。……これはお得ですね。なるべく2段目に設置できるようにするのも、勝利への近道と言えそう。 ――さて。手番が進んでいくと、必然的に場の〈タイル〉が少なくなってきますね。選択肢が少ないと、欲しい〈タイル〉がない、という事態も発生します。そんなとき、いよいよ出番となるのが〈アンクトークン〉です。これを基本アクションの前か後に1枚支払うごとに、以下の追加アクション「a」か「b」1つを実行できます。ただし、基本アクションで入手したばかりの〈アンク〉を即使う、ということはできないので注意。 a)タイルの更新2人プレイの場合、まず場に並べられた〈タイル〉のうち一番左の1枚を強制的に取り除きます。3~4人の場合は、この行程は無視しましょう。次に、場の残りの〈タイル〉を左寄りに詰めます。……価格が変わるわけですね。続いて、2つあるタイル山のうちどちらか1つを選択。その上から、場に空いているマスへ左から順に〈タイル〉を補充します。もし選択した山が尽きたときは、残りの山から補充を続けましょう。……欲しい〈タイル〉が場にないときは、こうして〈アンク〉を使って〈タイル〉を更新するわけですね。b)自分のタイル1枚を移動すでに自分の場に設置した〈タイル〉を、設置し直すことができます。あとからプレイプランを変更したいときや、失敗したな、というときにやり直しがきくのは便利。ただし、段数を跨いで移動はできません。1段目の〈タイル〉は1段目、2段目の〈タイル〉は2段目と、同じ段内でのみ移動可能です。また、移動によってボーナス対象だった形が崩れてしまった場合――入手済みの〈ボーナストークン〉を返却することになってしまうので、くれぐれも注意しましょう。 ゲームを通じてやっていくことは、以上です。・資源を得る・タイルを買って置く・タイル更新・タイル移動つまりはこの4アクションのみ。やることが明快でプレイしやすい内容ですね。――あとは〈タイル〉の種類についてもご紹介しておきましょう。【タイルの種類】まず、色は「赤・青・緑・白・黒」の5色が存在します。どの色を主に集めていくかは、他のプレイヤーの動向を見て決めましょう。……かちあうと場のタイルの取り合いになるので、おいしくありません。 絵柄の種類としては、まず動物。写真のように「ジャッカル」「ファルコン」「スカラベ」の3種類が存在します。これも、他のプレイヤーとの兼ね合いでどれを集めるか決めるのがいいかもしれません。続いての種類は写真の3つ。左から順にご紹介します。 ・得点タイルこのタイルはゲーム終了時、単純に「1枚2勝利点」として換算されます。色との兼ね合いもありますが、場に現れたら率先してGETするのがいいでしょう。 ・倉庫タイルGETして自分の場に設置すると同時に、〈タイル〉と同色の〈資源トークン〉1個をこの〈タイル〉の上に乗せます。これは、所有資源として支払いに使えますが、手持ち上限にカウントされません。つまり、手持ちの資源がすでに5枚で制限いっぱい――これが6枚目でも、手番終了時に破棄しなくてOK。……これは〈タイル〉の購入が捗ること請け合いですね。また、乗せた資源の使用後は、同色タイルを個人的にストックしておく倉庫として使えます。これを活用することで、常時6個以上の資源を所有しておけるようになるわけですね。……直接得点には結びつきませんが、侮りがたい効果ですよ。 ・書記官タイルこの〈タイル〉を購入した場合、設置後、即座にもう1手番実行することができます。追加の手番は通常同様、「資源トークンGET」にしても「タイル購入」にしてもOK。……行動数が増えるのはどのゲームでも最高に魅力的な効果ですよね。……アメイジング!最後の1種は、砂漠タイル。これといった効果はないですし、動物ボーナスも狙えないため、いわば損な1枚です。なるべくなら、これ以外の種類の〈タイル〉を入手していくのがいいでしょう。ただ、色ボーナスを狙うための1枚としては機能するので、あながち損なだけとも限りません。【ゲームの終了】プレイヤーの誰かが自分の場に13枚目のタイルを配置すると、ゲームは終了に向かいます。全てのプレイヤーが同じ手番数になるようラウンドを実行して、いざ得点計算。換算手順と得点になるものは、以下の通りです。 ・「得点タイル」の点・ボーナストークンの点・同種の「動物タイル」が2枚以上隣接しているグループ。構成しているタイル1枚につき1点。・同色のタイルが2枚以上隣接しているグループ。構成しているタイル1枚につき1点。・自分が所有しているトークンの残り。種類に関係なく3枚ごとに1点。 これらの合計値が最も高かったプレイヤーが優勝です。……汝こそ、名声高きエジプトの大商人だ!もし同点なら、自分の場のタイル枚数が少ないほうの勝ち。それも同じなら、所持している残り資源の少ないほうが勝ちです。それさえも同数だった場合は、仲良く勝利を分かち合いましょう。……ポジピース☆【まとめ】作者が、2人用ゲームの傑作『ジャイプル』のスタッフだけあって、安定のプレイ感。名作『宝石の煌めき』に似たシステムは、やることもわかりやすくプレイ時間もお手頃です。基本的には黙々と自分の場を作っていくタイプのゲームなので、ケンカの心配もなし。一応、お邪魔要素としては、相手が欲しそうな場の〈タイル〉を先に買っちゃう、という手もありますが。……あとは、2人プレイなら場の左端の〈タイル〉を流しちゃうこともできるしね。 駆け引きの肝は、〈アンク〉によって〈タイル〉を補充するタイミング。場の〈タイル〉が自動的に補充されない、というのが何よりこのゲームのミソでしょう。補充タイミング一つで、おいしい1枚を相手に取られてしまったり、損な1枚を取るはめになってしまったり。いざというときのために〈アンク〉は最低1枚は常備しておきたいところです。……とか言いつつ、私はほぼ〈アンク〉なしで、向こう見ずなプレイをしていたわけですが(汗)勝つために重要なのは、1枚の〈タイル〉で2役をこなすこと。例えば、写真中央1段目の「青ジャッカル」と「青ファルコン」のような形です。この2枚は「青ボーナス」にもなり、それぞれ「同動物ボーナス」にもなっている。ボーナス点だけで、もう9点です。置ける〈タイル〉の枚数は最大でも13枚と限られているので、一石二鳥が大事ですよ。 ぜひ皆さんも『アンクォール』で、飽きない商いを!――といったところで、今回はここまで。以上、どんぶり勘定な新井淳平がお送りしました。ではではまた~。【ライター紹介】新井 淳平(あらい じゅんぺい)「小説家」兼「フリーライター」。某専門学校のノベルス文芸学科で授業も受け持つ。ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。ダイス運は、最悪だけどドラマティック。【著書】『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)