ボードゲームレビュー第283回「ティーフェンタールの酒場」

投稿者 : kiwistaff on

「ティーフェンタールの酒場」
作者:ヴォルフガング・ウォールシュ
メーカー:アークライト
プレイ人数:2~4人用
対象年齢:12歳以上
プレイ時間:60分

毎週木曜日はキウイの日ー!
どもども、三家原です。いやー、やっと暖かくなってきましたねー。

今回ご紹介するのはアークライト様より発売中の「ティーフェンタールの酒場」なのです!



ゲームデザイナー様は、このレビューでも紹介してきた「クアックサルバー」や「富士-脱出-」を手掛けたヴォルフガング・ヴァルシュ様!
なんか、最近すっごくこの方のお名前を目にするような気がしますね。まさに売れっ子ですね!(まてこら)

プレイヤーはティーフェンタールという村で酒場を営むオーナーさん。
常連はそこそこついてるけど、もっともっとお店を拡張したり、お金持ちのお客さんを呼び込もうと意欲満々なのですよ。
とはいえ、拡張路線を挑もうにも、先に施設を充実させればいいのか、それとも新しいお客さんを呼び込むべきなのか、それはダイスとプレイヤーによって千差万別!
果たして自分の酒場はどんな風に成長していくのか!? というのが、本作の内容なのです!!

■ゲーム準備

1)全体の準備

修道院ボードをテーブル中央に配置しましょう。雪のない面を表にしたら、上部のくぼみにシュナップスボーナスタイルを裏向きにしてはめ込みましょう。



各プレイヤーは自分の担当色を決めたら、その色に対応する「修道院マーカー」を1個受け取って修道院表の開始マスに配置、現在のラウンドを示す月形のラウンドマーカーをボードの「1」の横に置きます。

そして、最後に「カウンター客タイル」と呼ばれる3種類のタイルを、プレイヤー人数×3枚分だけ取り出して、これでボードの準備は完了です!



さあ、次はカードの市場を作っていきますよ。
市場には大きく別けて「酒場カード」「一般客カード」「特殊な客カード」の3種類があります。

①酒場カード
左上に金貨(このゲームでは、金貨のことをタブロンと呼んでいます)が描かれていて、内訳としては「ビール商人」「皿洗い」「ウェイトレス」「テーブル」「納入業者」といった、酒場の強化につながるカードとなります。
また初めてプレイする場合は「吟遊詩人」を抜いておきましょう。



②一般客カード
こちらは左上にビールの絵が描かれています。
お店にやってきて、呑んで騒いでお金を店に落としてくれる大切な存在なのですよ。
しかも、一部のお客様には即時効果があったりなかったり……基本的にビールをよく飲むお客様ほど、大金を落としてくれるのです。



③特殊な客カード
とある条件を満たすとゲット出来るお客様なのですよ。
しかも、ちょーっと特殊なルールがあったりするのですが……それは後ほどご紹介。


とまあ、テーブル中央の準備はこんな感じですね。
一般客に常にビール3つで獲得できる常連を左側に固定して、+4枚の計5枚で並ぶようにしておきましょう。


これで中央部分は準備完了!

そしてここからは、自分のお店の準備なのですよ!

2)各プレイヤーの準備

各自の色に対応する酒場ボードを受け取り、各設備タイルを1枚ずつ受け取ります。
それらをボードの対応するくぼみにはめ込み、金庫マーカーとビール貯蔵庫マーカーをそれぞれ「0」の位置に配置します。
次に、コースターと白ダイスを4個受け取り、自分の色のダイスはテーブル中央にまとめて置いておきましょう。



最後にプレイヤーカラーの常連客カードを7枚、「ウェイトレス」「テーブル」「納入業者」を各1枚の計10枚のカードをまとめてよくシャッフルし、裏向きにして酒場ボードの左側に配置しましょう。これが各プレイヤーの山札となります。
最後にスタートプレイヤーを決めたら、それを示すジョッキを受け取って、これで基本的な準備は全て完了となります!



……え? 今の説明だと中のパーツが思いっきり余る? ふふふ、そうなのですよ。
実はこのゲームには、モジュールと呼ばれる拡張要素が5つ用意されていて、今回の準備だと2~5が未使用となるので、かなーりパーツが残る事になるのです。

■ゲーム手順

ゲームの進行は、1ラウンドにつき7つのフェイズで構成されています。
各フェイズによって、全員で行うもの、手番順に行うものと別れているのですよ。

1)再び酒場の夜が始まる。(全員)
このフェイズでは、親プレイヤーがラウンドマーカーを次の数字が大きいエリアに移動させます。
各プレイヤーは、移動させた先に描かれたボーナスを受け取ります。


ボーナスと言われるだけあって、大体は各人にプラスとなる恩恵が多い。

ゲームは計8ラウンド。フェイズ数が多いので長そうな印象ですけど、全員で行う事が多いので、意外とサクサクと進むのですよ。

2)ごった返す酒場(全員)
各プレイヤーは、山札の一番上のカードを引いて公開し、自分の酒場に対応する場所にカードを配置します。
配置先は各カード決まっていて、「一般客」は座席、「酒場」は各施設へ配備となります。


いらっしゃいませー!!

こうして次々とカードを引いていくのですが、もしも座席が一般客でいっぱいになったら、その時点で酒場は満員御礼になったとして、引くのを中断します。
逆をいえば、座席があればあるほど、この山札は引き放題!(まてこら)


満員御礼ぃ~っ!!

とはいえ、最初のうちは座席も少ないので、す~ぐいっぱいになっちゃうんですよね~。
でも「特殊な客」である貴族は、一人目以降は重ねる事が出来るので、座席が圧迫されないという素敵仕様なのですよ!

また座席が埋まってしまったけど、このままだと不味いと思った場合、「カウンター客タイル」の能力で、酒場に設置してるカードを全て捨て札にするという荒業もあったりするのですよ……!

こうして、全員が満員御礼となったら、次にウェイトレスさんがサービスしにやってきます。

3)ウェイトレスのサービス(全員)

このフェイズでは、配置されたウェイトレス一枚につき、自分の色ダイスを1個受け取り、ただちに振って自分の酒場ボード下部に配置します。

これは「6)アクションフェイズ」で使用出来るダイスとなるので、出目を変えないよう注意しましょう。


追加できる色ダイスは最大3個までなので、いっぱい雇ってもあんまり効果はないですよ!

4)ご注文はお決まり?(手番順)

各プレイヤーは白ダイスを振り、出た目のままコースターの上にのせましょう。
親から時計回りの順に、手元のコースターから白ダイスを1個選び、酒場ボードの下部に移動させます。


何が出るかな、何が出るかな~。

全員がダイスを選択したら、手元のコースターをダイスをのせたまま左隣のプレイヤーへと移動させます。
こうして全員が受け取ったら、再び好きな出目のダイスを一個受け取り、そしてまた左隣に、左隣と計4つの白ダイスを受け取ったら完了です。

5)計画フェイズ(全員)

このフェイズでは、次のフェイズに向けて計画を立てていきます。
酒場ボード下部の白ダイスと色ダイスを、酒場のボード上のアクションマス……ダイスの目が描かれているカードやタイル……に配置していきます。



アクションマスには、実行に必要なダイス目と配置出来るダイスの数が描かれています。
各アクションマスには1個しか配置できないものと、好きなだけ配置出来る場所があったり、実行のダイス目が任意でよかったりするものがあったりするので、自分の保有するダイスを最大限発揮できるように計画していくのですよ!!

果たしてこの計画で上手くいくのか!?

また「皿洗い」が酒場に存在して場合、一人につき任意のダイス1個の出目を+1として扱う事できます。
ただし、ダイスの出目をそのものを変えたりしないように注意しましょう。

アクションは大きく別けて、

①金貨を稼ぐ。
②ビールを増やす。
③特殊能力を発動させる。

の3種類。全員がこれらにダイスを配置したら、いよいよアクションの実行なのですよ!

6)アクションフェイズ(手番順)

このフェイズでは、親プレイヤーから順番に、計画フェイズで決めたアクションを任意の順番で行っていきます。
手番になったプレイヤーは計画していたアクションを、任意の順番で実行することが出来ます。

①金貨を稼ぐ。
商売の基本はお金を稼ぐこと! ってなわけで、このゲームで主にお金を稼ぐ方法は、「客への提供」「釣り銭箱からの出金」の2つ!
「客への提供」は、座席に座っているお客さんの出目と同じ目のダイスを配置している事で実行出来ます。


提供してもらったお客さんはほろ酔い気分で代金を置いていくのですよ。

一方の「釣り銭箱からの出金」は、どのダイス目でも一つ金貨にしてくれます。
ダイス目によってはどこにも置けない! そんな時はここに置いて金貨に換金しちゃおうというマスなのですよ。

②ビールを増やす
お酒が増えれば、お客も増える! 新しいお客さんを獲得するのに必要なビールを増やす方法となるのが「ビールの納入」「自家醸造」の2つ!
「自家醸造」は「釣り銭箱からの出金」と同じ救済系のアクション。好きな出目を一つビールに変換してくれるのですよ。
そして、「ビール納入」は出目が固定されていますけど、その出目のダイスなら何個でもビールに変換出来るのです! ダイスを払うだけで、いくらでもビールが……酒飲みには夢のような話ですね(まてこら)



③特殊能力を発動させる「修道士」

酒場にいる「修道士」を使うことで、テーブル中央にある修道院ボードのコマを進める事が出来ます。



このコマは一定数進むことで、即時効果だったり、最終計算で得点になったりするので、じわじわと進めておくといいのですよ。

また、ラウンドが進行することで手に入る「カウンター客タイル」でも進めることが可能なのですよ。


ゲームが進めば進むほど、カウンターが賑やかに。

大体初期のアクションだというこういう感じですねー。

こうしてアクションによって得た「金貨」と「ビール」によって、自分の酒場や常連客を強化することができます。

あと、勘の良いプレイヤーさんは気づいているかもしれませんが、このゲーム……自分の獲得した金貨やビールを示すチップ等がありません! なので、プレイ中は記録用紙が必須なのですよ!!(汗)

強化① スタッフの雇用
初期手札である「ウェイトレス」や「テーブル」のように、山札から出た瞬間に酒場を強化出来るカードは、左上の金貨分を支払うことによって、自分の山札の上に裏向きで置きます。そう、次の配置時では確実にご登場してくれるのですよ!

強化② 酒場の改良
酒場ボードを直に強化したいなら、この方法。各所に描かれた金貨を支払うことで、酒場そのものを強化することが出来ます。
これによって山札から出てこなくても、常時一つ強化された状態を保つことができるのですよ。


最初はしょぼい酒場もいつか立派に!

常時使えることもあって、ちょーっとお値段が高いのですが、改良しようとしている設備にスタッフのカードがあった場合、それを任意の枚数破棄することによって、割引を行う事ができます。つまり、たくさんあればあるほど、安くなるのですよ!


強化した設備は、強化したことを示す為にタイルを裏返しておくのをお忘れなく。

また、設備強化した場合、即座にボーナスとして「特殊なお客様」である貴族を1枚入手することができます。入手した貴族を山札の一番上へ裏向きにして配置しておきましょう。

強化③ 一般客の獲得
酒場で一番大事なのはお客様! ってなわけで、市場にいるお客様を常連さんにする為、ビールを振る舞っちゃいましょう!
カードの左上分のビールを支払う事によって、そのカードを山札の一番上に(以下略)


いろんなお客様がいるのですよ。

山札の一番上にやってくるから、支払のいいお客さんを捕まえれば捕まえるほど、次のラウンドに入店してくれて、収入につながるのですが……そうやって積極的に取り込むと、即座に席が埋まってしまう可能性も……むむむ、このバランスがまた難しい。

中には購入した瞬間に発動する能力をもっている人なんていうのも……そういうお客さんは、カードの真ん中に発動する能力のマークが描かれているので、市場に出てきたら要チェックなのですよ!

また一般客の市場は常に5枚をキープしないといけないので、獲得された側から補充し忘れないように注意しましょう。

こうしてアクションと獲得処理が終わった時に、金貨とビールが余るという場合があります。

これらは手番終了ど同時に消滅するのですが、初期は上限付きで2まで保管することができます。なので、いきなりすぐ使わずに貯めるのも一つの手かも。
強化すればもっと保管する事が出来るんですけどねー……地味にお高い。

さあアクションも終わり、金貨とビールの使いみちも決定したら、手番は終了なのです!
左隣のプレイヤーに手番を渡して、一周するまで待ちましょう。

7)今日は店じまい!(全員)
各プレイヤーは、「2)ごった返す酒場(全員)」で配置したカードを全て回収し、表向きの状態で山札の横に捨て札として配置します。
その後、親プレイヤーは次のラウンドがある場合、親マーカーを左隣のプレイヤーへと手渡し、再び「1)再び酒場の夜が始まる。(全員)」からスタートとなります。


それでは皆様、また明日~!!

■ゲーム終了と勝利条件

こうして居酒屋経営を続けて、全8ラウンドが終わったら、ゲームは終了となります。
各プレイヤーはその時点までに入手した全カードの勝利点を合計し、一番高い数字のプレイヤーが勝利となります。


果たして、ティーフェンタール村で一番の酒場はどこなのか!?

■総評

ってなわけで、今回ご紹介した「ティーフェンタールの酒場」はいかがでしょうか?
「クアックサルバー」や「富士-脱出-」とはまた一味違った居酒屋経営ゲームでしたが、軽いプレイ感でありつつ、いろいろな戦略ができるところがなかなか面白い作品でしたねー。


やはり現実もゲームも居酒屋に必要なのは集客数だよアンちゃん!(え)

今回のゲームで「珍しいな~」と思った箇所が、元から戦略幅が広いけど、モジュールを増やせばもっと広がっていくっていう点ですね。
いや、こういう運営戦略ゲームって要素をできるだけ最初から全部出して「その中からキミがやりたいやり方を考えて遊んでね!」ってやる印象なんですけど、本作はモジュールという形で「このゲーム慣れたきた? じゃあ、これも使おうよ!」と、自分自身のプレイスキルと一緒に、ゲームも成長していくみたいな。
慣れてきたらもう一戦、今度はモジュールを追加してもう一戦、そして慣れたら……あれ? よくよく考えてみたら、ハマる人はとことん沼へと引きずり込んでいく仕様だこのゲーム!(汗)



がっつりと経営ゲームしてる割に、人数が居てもさくさくと遊べるゲームですし、ご興味のある方はぜひぜひプレイしてみてくださいませなのですー!!

 

ライター紹介
三家原優人(みけはら ゆうと)
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
 ゲームシナリオライターだけでなく、映画会社にて長編映画の脚本や出演など多岐に渡って活動中。
 趣味はガジェット集め。国内・国外問わずの気になるガジェットを集めては愛でる日々。
 実は某公国の爵位を持っていたりする。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ。
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」。
 長編ホラー映画「腐女子」。
 その他多数。